SURGEON 25:マスタリングEQ製作(パート 5)ー パネル設計と視覚言語
- Eitan Brown

- 2月10日
- 読了時間: 5分
更新日:19 時間前

なぜパネル設計が重要なのか
Surgeon 25 の回路が形になっていくにつれ、これまで積み重ねてきた多くの判断は、最終的にフロントパネルという形で表に現れることになります。操作する人が最初に触れる場所であり、ユニットの意図が一目で伝わる部分でもあります。同時に、それはユニットの「顔」でもあります。ここまで密度の高い設計では、パネルには明確な役割が求められました。単なる部品配置ではなく、それ自体が一つのシステムとして機能する必要がありました。
出発点:完全な白紙ではなく

フロントパネルは完全な白紙から始めたわけではありません。Uroš が自身のパネルデザインを共有してくれたことで、ミッドサイド機能の追加など、自分が行った変更点や好みに合わせて修正するための確かな出発点が得られました。初めてのパネル設計だったこともあり、既存デザインを読み解きながら、自分なりに調整していく形で学べたのは大きな助けになりました。
ツールの使い方が分かってきたところで、リアパネルや PSU パネル、シャーシ底面の取り付けレイアウトなど、他のパネル類はすべて一から設計しました。
Front Panel Designer を学ぶ
パネル設計には、Front Panel Designer という新しいツールを使う必要がありました。無料でダウンロードしてすぐに使えるソフトです。以前の KiCad と同様、最初は手探りでした。FPD は機能的に制限も多く、操作性も洗練されているとは言えませんが、目的は十分に果たせます。多少の工夫をすれば、加工業者が使えるデータを出力できます。穴径、間隔、配置、表記、整列といった基本要素を一つずつ確認しながら慣れていきました。

メインユニットのフロントパネルは、もともと非常に密集した構成でした。そのため、この工程ではまず寸法精度と許容差が最優先でした。スイッチやノブの間隔が場所によっては 1〜2 ミリしかなく、実質的に余裕はありません。穴径、位置、刻印の配置、そのすべてが正確である必要がありました。
視覚言語と表記の選択
機械的な制約が決まったあとは、視覚的にどこまで情報を載せるかが次の課題でした。すでに要素が多いパネルだったため、できるだけ抑制した表現を選びました。シェルフ/ベル、ミッド/サイド、EQ イン/バイパスといった切り替えは文字ではなくシンプルな線記号にしました。バンド間の区切り線も省き、ノブ周りは目盛線を使わず、数字のみとしています。

余計な表記を減らしたことで、物理的な余白も生まれました。ノブ周囲の目盛線をなくしたことで、より大きなノブを使うことができました。しっかり掴める大きめのノブは、操作感としても安心感があります。結果として、下段のゲインには大きなノブ、中段の周波数には中サイズ、上段の Q には小さめのノブを使いました。機能的な重要度に対応したサイズ分けになり、視覚的にも触覚的にも操作しやすくなっています。

ロゴも二つ配置する必要がありました。自分の Clear Echo ロゴに加え、Uroš の Owl Units ロゴも残しました。このプロジェクトは自分一人のものではなく、共同作業だと感じていたからです。視覚的な主従関係ではなく、バランスと対称性を意識してレイアウトを何度も調整しました。
ユニット名も Surgeon II から Surgeon 25 に変更しました。Sontec MEP-250A の系譜、2 チャンネル 5 バンド構成、そして Bike Club の生涯会員としての個人的な意味。いくつもの理由が重なっています。何しろ、15 歳の頃から 25 ですが ;)
制約、道具、そして現実
当初は、フロントパネル、リアパネル、PSU パネル、通気穴加工まで、すべて外注するつもりでした。手元の工具はマキタのコードレスドリル程度で、作業場所も集合住宅です。プロに任せるのが妥当だと感じていました。

再び友人の吉野俊介に相談し、東京の町工場である野方電機工業を紹介してもらいました。技術力も評判も申し分ありません。ただ、見積もりを見て現実に引き戻されました。品質に見合った価格ではあるものの、すべてを任せるには予算的に厳しいものでした。
そこで、作業を分担する判断に至りました。
精度を求めすぎなくてよかった部分

高い精度が求められない部分は自分で行うことにしました。PSU 筐体の穴あけ、通気孔の加工、そして十分な余白のあるリアパネルの加工です。
PSU のフロントパネルでは、初めて刻印にも挑戦しました。結果は……正直、かなり酷いものでした。そこで無理に直そうとせず、傷を加えて使い込まれた風合いに寄せ、ラベルはステッカーで対応しました。PSU は見た目の精密さより、確実に動くことが重要です。


一方、メインユニットのフロントパネルは別次元でした。
精度が絶対条件だった部分
操作子が密集し、配置のズレが機能にも操作感にも直結するため、ここではミリ単位の精度が必須でした。穴位置が 1 ミリでもずれていれば、全体が破綻していたはずです。

最終的に、この部分だけを野方電機工業に依頼しました。約 3 週間後に戻ってきたパネルは、精度、仕上がり、存在感のどれもが素晴らしいものでした。実際に部品を取り付けてみると、どれほど余裕がなかったかが一目で分かります。この判断は正しかったと強く感じました。

まとめ
パネル設計は、このプロジェクトの中でも特に充実感のある工程でした。技術的な判断、操作性、見た目の好み、そして現実的な制約が、限られた空間の中で交差します。フロントパネルを取り付けた瞬間、Surgeon 25 は一つの完成した機材としてまとまりを持ち始めました。
精度とは回路や数値だけの話ではない、ということも改めて実感しました。自分で手がけるべき部分と、専門家に任せるべき部分を見極めることもまた、精度の一部なのだと思います。
パネルが完成し、いよいよ配線へと進みます。組み立て、調整、テストへ向かう前の最後の工程です。続きは次章で。



コメント